豆知識
2021/06/02
「酉」は「とり」「ひよみのとり」などと呼ばれています。
でもこの文字に”鳥”や“鶏”的な意味はありません。
まず、物凄く昔の中国で作られた占いの設定があって、
12種類の状態を漢字1字で表したもの、
これが十二支です。
十二支の10番目が「酉」で、
本来は果実が熟しきった状態を指しています。
でも漢字と意味だけだと覚えづらい…
となったかどうかは知りませんが、
あとで十二支にそれぞれ分かりやすい動物を当て嵌め、
10番目が鶏になったので、
酉を「とり」と読むようになったそうです。
そして十二支は暦(日読み)に使うので、
他の「鳥」や「隹(ふるとり)」と区別するために
「ひよみのとり」と言うようになりました。
さて、酉がbird的な意味ではないことが分かりましたが、
なんで酒の部首なの?ってことですよね。
「酉」そのものに酒という意味がありまして、
この字は酒を造るための壺の形を象った象形文字です。
これが部首になっている字は酒関係もそうですが、
何かを発酵させたり熟成させたりする意味の
漢字も多いですよね。
醸とか酵とか。
十二支の10番目にこの字があてられたのも、
旧暦の8月(今の10月頃)に
実った作物で良い酒が作れる時期にあたるから、
らしいですよ。
以上のことから、そもそも酒の意味があった「酉」に
さんずいを付けて液体の飲む酒ですよ、
ってことにしたので、より「酒」の意味が強い
・「説文解字」
最初の部首別字典。
2世紀初め頃、後漢の時代のものです。
10,000字くらい載っています。
今の漢和辞典と大きく違うのは、まず部首が540個あること、
そして並び順が部首の画数順ではないことです。
数の「一」から始まり、十二支の「亥」で終わっています。
陰陽五行という思想の影響を受けてこの並びだそうですが、
目当ての漢字を探すのに、まずその部首が
どこら辺にあるのかを探すのがめちゃくちゃ大変という…
~その後探しやすさを工夫したり、異体字を整理したりした字書が作られる~
・「字彙」
画数順を徹底した最初の字書。
17世紀初め、明の時代に作られました。
歴代の字書の集大成!
18世紀初め、清の康熙帝が作らせたもの。
楷書の画数順に並べてあります。
47,000字くらい載っていますが、
これはそれまでに作られた代表的な字書に記載されている
珍しい字や俗字なども殆ども入っているから。
しかもそれぞれの音や意味に出典付きの用例も書かれています。
数と詳しさでは一番。さすが集大成。
~とはいっても結構ミスが見つかったりして、
後の皇帝が改訂を命じたり、日本人にも校訂した人がいたりする~
現代の日本で一般的に使われている漢和辞典は
康煕字典を基本にした部首分類になっていますが、
全ての漢和辞典が同じ漢字について必ず同じ部首を採用している、
というわけでもありません。
理由は様々あるみたいですが、
その辞典の編集方針として、字義を優先するか、
調べる際の実用性を追求して字形を優先するか。
ここが大きな分かれ道のようです。
色んな辞典を見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
参照
大修館書店「漢字文化資料館」
https://kanjibunka.com/
ニッポン放送「NEWS ONLINE」
https://news.1242.com/article/109993
漢字の分類
こんにちは、EIKIの馨です。
いきなりですが皆さん、
「酒」という漢字の部首ってご存じですか?
…正解は「酉(ひよみのとり)」でした~~!
すみません、また酒の話から入ってしまって…
今回はなんで酒の部首が「さんずい」ではないのか
というところから漢字の分類について少し。
ひよみのとりと酒の関係
「酉」は「とり」「ひよみのとり」などと呼ばれています。
でもこの文字に”鳥”や“鶏”的な意味はありません。
まず、物凄く昔の中国で作られた占いの設定があって、
12種類の状態を漢字1字で表したもの、
これが十二支です。
十二支の10番目が「酉」で、
本来は果実が熟しきった状態を指しています。
でも漢字と意味だけだと覚えづらい…
となったかどうかは知りませんが、
あとで十二支にそれぞれ分かりやすい動物を当て嵌め、
10番目が鶏になったので、
酉を「とり」と読むようになったそうです。
そして十二支は暦(日読み)に使うので、
他の「鳥」や「隹(ふるとり)」と区別するために
「ひよみのとり」と言うようになりました。
さて、酉がbird的な意味ではないことが分かりましたが、
なんで酒の部首なの?ってことですよね。
「酉」そのものに酒という意味がありまして、
この字は酒を造るための壺の形を象った象形文字です。
これが部首になっている字は酒関係もそうですが、
何かを発酵させたり熟成させたりする意味の
漢字も多いですよね。
醸とか酵とか。
十二支の10番目にこの字があてられたのも、
旧暦の8月(今の10月頃)に
実った作物で良い酒が作れる時期にあたるから、
らしいですよ。
以上のことから、そもそも酒の意味があった「酉」に
さんずいを付けて液体の飲む酒ですよ、
ってことにしたので、より「酒」の意味が強い
酉が部首になっているということでした。
部首は意味が大事ってことですね。
ん~、でもそれだと納得いかないのもあるけど…
それは、現代日本で使用する漢字が
新字体と言って割と最近形を変えちゃったから、とか、
部首多すぎるのは困るよねということで
歴代字書が部首を減らす方向で作られていったから、
などなどいろんな理由がありますので
必ずしも意味ばかりが優先されるわけでもないのは
仕方ないこととして諦めるしかなさそうです。
字書の歴史(超ざっくり)
・「説文解字」
最初の部首別字典。
2世紀初め頃、後漢の時代のものです。
10,000字くらい載っています。
今の漢和辞典と大きく違うのは、まず部首が540個あること、
そして並び順が部首の画数順ではないことです。
数の「一」から始まり、十二支の「亥」で終わっています。
陰陽五行という思想の影響を受けてこの並びだそうですが、
目当ての漢字を探すのに、まずその部首が
どこら辺にあるのかを探すのがめちゃくちゃ大変という…
~その後探しやすさを工夫したり、異体字を整理したりした字書が作られる~
・「字彙」
画数順を徹底した最初の字書。
17世紀初め、明の時代に作られました。
33,000字くらい載っています。
まず部首を画数順に並べ、
同じ部首内の字も画数順に並べてあり、
部首の数も214個なので、
説文解字に比べて探すのが一気に楽になりましたね~
現在日本で使われている漢和辞典も
大半がこの画数順方式。
陰陽五行知らなくても大丈夫なのは有り難いですね!!
~その後字彙を補正するような字書が作られる~
・「康煕字典」
歴代の字書の集大成!
18世紀初め、清の康熙帝が作らせたもの。
楷書の画数順に並べてあります。
47,000字くらい載っていますが、
これはそれまでに作られた代表的な字書に記載されている
珍しい字や俗字なども殆ども入っているから。
しかもそれぞれの音や意味に出典付きの用例も書かれています。
数と詳しさでは一番。さすが集大成。
~とはいっても結構ミスが見つかったりして、
後の皇帝が改訂を命じたり、日本人にも校訂した人がいたりする~
現代の日本で一般的に使われている漢和辞典は
康煕字典を基本にした部首分類になっていますが、
全ての漢和辞典が同じ漢字について必ず同じ部首を採用している、
というわけでもありません。
理由は様々あるみたいですが、
その辞典の編集方針として、字義を優先するか、
調べる際の実用性を追求して字形を優先するか。
ここが大きな分かれ道のようです。
色んな辞典を見比べてみるのも面白いかもしれませんね。
参照
大修館書店「漢字文化資料館」
https://kanjibunka.com/
ニッポン放送「NEWS ONLINE」
https://news.1242.com/article/109993