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2022/09/05

『異動辞令は音楽隊!』感想

英揮ブログ


今回ご紹介する映画は、阿部寛主演の「異動辞令は音楽隊!」になります。

以下、あらすじです。

ネタバレもありますのでご注意ください。



あらすじ


いわゆる昔気質な警部補の成瀬司(阿部寛)は、
犯人逮捕のためには手段を選ばず、
捜査令状なしで容疑者の家に踏み込んだり、
容疑者を痛めつけたりとやりたい放題。

また、部下を小突く、恫喝するなどのパワハラ行為も茶飯事で、
警察署内では浮いた存在だった。


ある日、成瀬は数々の問題行為が取りざたされたのに加え、
部下へのパワハラが告発されたことにより異動を命じられる。

現場一筋であった成瀬が飛ばされたのは、広報課の音楽隊であった。



コミカルな予告とは裏腹に……「異動辞令は音楽隊!」の魅力


なんでもありのトラブルメーカー刑事が突然やったこともない音楽をやることになったからさあ大変!」


本編を見るまで私は、
「異動辞令は音楽隊!」をこのような内容であると想像していたのですが……
この期待はいい意味で裏切られました

本作がコメディー要素を全面に押し出したようなただ笑える映画ではなく、
高齢化社会にはびこる犯罪、
認知症の母の介護、
仕事と育児の両方に追われるシングルマザーなどなど……

映画の随所で社会問題を取り扱いながらも決して暗くなりすぎないように配慮された、
絶妙なバランス感覚を持つ作品だったからです。

そういった意味でいえば、
阿部寛のコメディー映画を期待して観に行く人は肩透かしを食らう形にはなるかもしれません。


本作は、音楽隊においての悪戦苦闘とアポ電強盗事件の解決という二本のラインに沿って話が進んでいきます。

一見したところまったく交わることがなさそうなこの二本は、
想像の通りやや纏まりは悪いところがあります(笑)。

しかし、本作にはそういった細かいところを突っ込ませない強いパワーがあり、
その源が音楽なのです。


本作では「イン・ザ・ムード」をはじめとしたブラスバンドでは定番の楽曲が複数演奏されますが、
それらのどれもが吹き替えなし――

つまり、俳優陣自らの手で演奏されています。演奏シーンのどれもがプロ顔負けで、
とくに主演の阿部寛がドラムを叩く姿は彼の身体の大きさも相まって迫力があり、
とても演奏歴三か月の素人とは思えませんでした。


「音楽はすべてを救えるわけではないが、音楽に救われる人はいる」
というメッセージが強く感じられる今作。

予告通りのコメディー映画ではありませんが、
興味のある方はぜひ映画館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。



『異動辞令は音楽隊!』公式サイト
https://gaga.ne.jp/ongakutai/about/

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