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2023/12/07

映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

英揮ブログ


今回紹介する映画は「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」です。

物語の核心に触れる部分もあるのでご注意ください。



あらすじ


昭和31年の戦後日本。

とある山奥にある哭倉村という村は、
政財界を裏で操る龍賀一族に支配されていた。

鬼太郎の父(のちの目玉おやじ)は失踪した妻の手がかりを探すために村に脚を踏み入れる。

一方そのころ、
血液銀行で龍賀製薬を担当する水木というサラリーマンは、
龍賀一族の当主・時貞の死に伴い、
社内での自らの地位を確立すべくある密命を帯びて村を訪れる。

その日の夜、一族の者が惨殺される事件が起き、
そこで容疑者として連れられた鬼太郎の父に出会う。


ふたりは村の秘密について突き止めるべく手を組むことになるが……。



大人向けのダークな世界観「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の魅力


ゲゲゲの鬼太郎シリーズといえば、
言わずと知れた水木しげる先生の描いた有名漫画をアニメ化した作品。

シリーズを経るごとにキャラクターデザインや登場人物の性格などがマイナーチェンジしており、
とくに猫娘なんか最近ではモデルみたいな頭身になっているなど大きな変化が見られます。


テレビシリーズの「ゲゲゲの鬼太郎」は近年では日曜朝に放送されることが多く、
つまりは大人というより小学生程度の子供に向けて作られた内容となっておりました。

しかし本作は劇場公開作品というだけあってか非常に内容がハード

大人はもちろん、
子供や女性などの児童向けのアニメならば本来「守られるべき対象」であるキャラクターに対しても
まったく容赦のない展開が次から次へと待ち受けており、
観ている人の気分を徹底的に落としてきます。


全体的な雰囲気はアニメというよりむしろ、
金田一耕助作品的な「イヤ~な風習の残る田舎」を描いた作品を思わせる感じで(いわゆる因習村的作品)、
とにかく全てが禍々しい印象。

地位にこだわる人、
金と情欲に溺れる人、
家族を家族とも思わない人……

サスペンス映画で一度は見かけた嫌な大人がとにかくもりだくさん

にもかかわらず、
要所要所で鬼太郎的派手なアクションシーンも用意されており、
良い意味でジャンルのごった煮感を覚えました。


全体的な話の流れとしてはあらすじに書いた通りで、
水木と鬼太郎の父のふたりが村の謎を解き明かしていく……
といった内容になっているのですが、
終盤に向かうにつれて「容赦のない展開」と上で書いた通りかなりヘビーに。

色々と衝撃的だったシーンはあるのですが、
その中でも死んだと思われていた龍賀一族の当主・時貞が自身の魂を小学生の孫の時弥の身体に憑依させて生きながらえていた(時弥の魂は地獄行!)ことが発覚するシーンは、
創作だとわかっていながらもあまりの悪辣さに顔をゆがめるほどでした。


本作では、これまでの「鬼太郎」シリーズや「墓場鬼太郎」からはもちろん、
「総員玉砕せよ!」など他の水木作品からの様々な引用も見受けられます

こういったことから既存のファン向けのようにも思われますが、
実際のところ事前知識はほとんど必要なく(なんとなく鬼太郎に出てくるキャラクターを知っていればOK!)、
新規に向けて作られていた印象を受けました。


脚本やキャラクターデザインの良さもあり、
口コミにより人気が高まっている本作。

各地映画館でパンフレットやグッズの売り切れが続出、上映館拡大など、
全国的にムーヴが起きているいま是非とも視聴してみてはいかがでしょうか。



映画『鬼太朗誕生 ゲゲゲの謎』公式サイト
https://www.kitaro-tanjo.com/

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