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2020/08/25

映画『鬼手』感想

英揮ブログ


韓国産映画がアツい。

『パラサイト』のアカデミー賞受賞から、
全国映画館で韓国映画が上映される機会が増えてきた気がします。

というわけで、
今回紹介する映画は囲碁×アクションというジャンルを確立させた奇作、
『鬼手』になります。



あらすじ


姉と共に貧しい生活を送っていた主人公のグィス(クォン・サンウ)は、
現役最強棋士であるファン・ドンギョンに姉を殺されたことをきっかけに、
ひとり故郷から遠く離れた街へ出る。

その街で片手を失った囲碁棋士のイルドと出会った彼は、
彼に誘われるまま賭け囲碁の世界に足を踏み入れる。


やがて心身ともに成長したグィスは賭け囲碁界最強の棋士となり、
姉の仇を討つために行動を起こすのだが……。





囲碁とアクションという異色の組み合わせ 映画『鬼手』の魅力


囲碁といえば知的な娯楽、
あるいは互いの知恵と知恵を限界のところで競わせる真剣勝負のイメージ。

いずれにせよ静の印象が強く、
少なくとも運動という概念とは無縁という印象が強い競技です。


しかし、この『鬼手』はとにかく動く

アクションと囲碁の比率でいえば、
5:5を超えて6:4

囲碁を題材に扱った映画なのにアクションの比率の方が高いという驚きの偏りっぷり。

なので、
囲碁について「難しいオセロみたいなボードゲーム」くらいの知識しか持っていない人も安心。

なにも考えずに楽しめるのです。


アクションシーンは全体的に「痛そう」な、
韓国映画らしいリアルな描写の連続。

ガラスの破片が頭から降り注いだり、
大根おろしのように顔面を壁に擦り付けたりと、
思わず目を背けたくなるようなシーンもチラホラ。


そんな中でも個人的に好きだったのは、
スカーフにまとめた大量の碁石を、
時にハンマーのように、
時にボクシンググローブのように使い、
多対一の戦闘をこなしていくクォン・サンウの殺陣。

囲碁の映画なんだからこれくらいやらなくちゃいけないよね!
というテンションの高さが垣間見える、
演者、スタッフ共々気合の入ったシーンに見えました。


もちろん、アクションだけではなく囲碁の対局シーンも面白い。

頭の中で碁石を並べて対局なんていうのはまだ序の口。

列車が迫る線路の上で対局したり、
お互いに透明色の碁石を使って対局したり、
一定数以上石を取られれば顔に酸をかけられる状況で対局したりと、
とにかくやりたい放題。

聞いただけでは「そりゃないだろう」と思う勝負ばかりですが、
実際に映画で観てみれば画力に騙されるからすごい。


映画の大まかなジャンルとしては、
韓国映画でよく観られるいわゆる『復讐モノ』。

しかしふたを開けてみれば、囲碁×バイオレンスアクションという異色の組み合わせ。

過剰な展開や演出が続く映画ですが、
上映時間が106分と短くまとめられており、
観ていて胃もたれしません。


上映館数は少ないですが、
見て損しない映画だと思いますので、
ご覧になってはいかがでしょうか。





『鬼手』公式サイト
https://kishu-movie.com/

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