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豆知識
2017/03/16

危ないからこそ食べたい…?

英揮ブログ

こんにちは、EIKIの馨です。

前回は毒全般の話をしたので、
身近なもので毒に関係するものについて書こうと思います。


皆さん河豚好きでしょうか?

あの魚の。私は食べたことないですが。


食べ物で毒といえばキノコとフグですよね。

日本での死に至る食中毒事故の大半がこの二つです。

自分で獲って料理するのは少々危険だと思うのでやめた方がいいかもしれませんね。

キノコは種類多すぎなので置いといて、
今回は話題豊富な河豚について。





英語ではpufferfishです。

食用ではトラフグとかマフグが有名ですが、
この二つが属すフグ科は約120種。

因みにマンボウとかハリセンボンも同じフグ亜目の為、
親戚のようなもの。

河豚の多くは毒を持っています。

毒のある場所は肝臓、卵巣、腸など。

持っている毒としてはテトロドトキシンが代表的ですが、
サキシトキシンという貝毒を持つものも見つかっています。

種類や部位、季節、生息地によって毒の強さが変わる為、
食べたら必ず当たるというものでもありません。

昔は今みたいに詳しくわかっていなかった為、
一度食べて大丈夫だった人が次も大丈夫だと思って食べたら死んじゃった、
とかはこれが理由ですね。



なぜ毒を持っているのか


生物が毒を持つ理由として挙げられるのは、
外敵から身を守る、狩りをする等ですが、
河豚の場合メスがオスを惹きつけるフェロモンとして使っているらしいことがわかっています。


河豚はテトロドトキシンの含まれた餌をそうでない餌より好む傾向があります。

また、メスの卵巣に含まれる毒の量は産卵が近づくにつれ増えていきます。

オスはテトロドトキシンの量に惹かれて卵のそばに寄ってくるのです。


というわけでテトロドトキシンはフグ自身が体内で作り出しているわけではありません。

緑膿菌という細菌が産出する毒で、
この細菌をプランクトンが食べ、河豚の餌になる生物が食べ…

このような食物連鎖の結果、河豚は体内に高濃度の緑膿菌を持つわけです。

…ということは、
そういった餌を食べさせなければ毒を持たない河豚になる…?


そう!それが養殖の河豚です。

天然ものはいいお値段ですし、丁度よかった?



テトロドトキシンについて


フグ毒研究は日本人学者が活躍しました。


日本人が命の危険を冒してまで好んで食べるものですから興味が湧くのも分かります。

テトロドトキシンは神経毒です。

簡単に言うと神経からの筋肉を動かす命令を遮断して麻痺させるものです。

口周りの痺れ、手足の麻痺、嘔吐、全身麻痺、呼吸困難、血圧降下、
最終的に意識を失って死に至る。

呼吸が止まった後も暫く心臓は動いているのも特徴です。

ただ、毒が体内で分解、無毒化されて排出されるまでの間、
適切な処置をすれば助かるかも。

(人工呼吸、吐かせる、強心剤、利尿剤…etc.)


神経自体が破壊されるわけではないので、
麻痺がなくなるまで人工呼吸とかで息があれば回復します。



河豚の卵巣の糠漬


上で書いたように卵巣は毒あるので普通食べたらアウトです。

しかし、石川県にはこれの糠漬けがあるんです!

いまいち毒が抜ける仕組みはわかっていないのですが、
1年塩漬け、その後1年半から2年以上糠漬けにされると

食べても大丈夫なくらいまで毒が減るんです。


↓詳しく書いてあるので是非読んでみて下さい。

石川新情報書府
http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/dokunuki/


やっぱりスリリングな食べ物、
さらにダメと言われると余計食べたくなるし美味しいんでしょうね。

フグ毒の論文とか日本語多いし、読んでみると結構面白いですよ!



参考

フグ毒研究の最近の進歩
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003648867/

伝統食品フグ肝の復活
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006978196

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