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2017/01/19

ゴールデングローブ賞と音楽と映画と

英揮ブログ


第74回ゴールデングローブ賞が発表されました。


デミアン・チャゼルが監督を務めるミュージカル映画、
「ラ・ラ・ランド」が作品賞を始めとした7冠を受賞する快挙を達成し、
大きな話題を呼んでいます。


本来なら受賞作である「ラ・ラ・ランド」を紹介したいところなのですが、
残念なことにこの作品は日本ではまだ公開されていませんので、
今回はチャゼル監督の前作である「セッション」をご紹介したいと思います。

以下、あらすじとなります。



あらすじ


世界に名を馳せるジャズドラマーを目指して名門音楽学校に通う主人公のニーマンは、

レッスン室での自主練を見られたことをきっかけにフレッチャーという有名な教官にスカウトされ、
彼のバンドで演奏をすることになる。

完璧主義者であるフレッチャーは、
演奏中に少しでもミスをした生徒には容赦のない罵声を浴びせ、
時には暴力を振るうような鬼教官で、
生徒達から恐れられていた。

ニーマンはそんなフレッチャーを見返してやろうという一心で、
狂気に駆られたように練習を続ける。

練習の甲斐あって、
ニーマンはバンドの主奏者に選ばれるが……。



「セッション」の魅力



音楽と映画は、
たいていの場合は互いが前向きなイメージで結び付けられているものです。

最近では「アナと雪の女王」、
少し古い映画では「サウンドオブミュージック」などなど。

実際、上記の2本は鑑賞後の気分を明るく、
そして楽しいものにさせてくれる映画です。


しかし、あらすじを見てわかる通りこの「セッション」は全く違います。

映画の画面は全体的に暗く、
雰囲気も陰鬱です。

正確なテンポを身体に教えるため生徒の頬を拍子に合わせて叩き続ける、
休憩もほとんど取らせず5時間以上も演奏を続けさせる、
などのようにショッキングなシーンもがあるせいで、
劇中で演奏される軽快なジャズも却って恐ろしく聞こえます。


この作品は鑑賞後の気分を明るくしてくれるものではありません。

ですが、ラスト10分に及ぶ演奏シーンの後には、
出来の良いアクション映画を観た後のような清々しい爽快感が待ち受けています。
この爽快感が「セッション」における最大の魅力だと、
私は考えます。

暗い話だと煽っておきながら『爽快感』だなんて、
不思議なことを書いていると自分でも思いますが、
事実そうなのです。

暴力によって屈服させられていたニーマンが、
拳ではなく音楽によって完膚なきまでにフレッチャーを叩きのめすこのシーンは、
「よくぞやってくれた!」と手を叩きたくなるほど素晴らしいのです。

それこそ、
このラストシーンのためにこの映画があるのだと思うほどに。


もちろん、
主要キャスト2人の演技も大きな魅力のひとつです。

フレッチャーを演じたJ・K・シモンズの演技はその年のアカデミー賞に選ばれるほどでしたが、
主演であるマイルズ・テラーの演技もまた、
それに全く劣らないほど素晴らしかったです。

指のタコが潰れ、
流血しながらも演奏を続けるシーンは、
特殊メイクを使ったわけではなく本物だった、などの撮影秘話を聞いた時は、
驚くのを通り越して思わずぞっとしました。

ニーマンとフレッチャーのような関係は、
程度の差こそあれ、
割とどこにでもあるものだと思われます。

そしてたいてい、
このような関係があったことはいつの間にか『いい思い出』や『笑い話』に変わっているものです。

「うちの顧問がこんな先生じゃなくてよかったなあ」とか、
「俺の時はこんな程度なら日常茶飯事だった」なんて、
高校生時代辺りを思い出しながら観るのがこの映画の楽しみ方のひとつでもあると思います。



「セッション」は一昨年公開の映画なので、
すでにレンタルは始まっています。

ニュースなどを見て「ラ・ラ・ランド」に興味が沸いた方は、
一度レンタルしてみるのはいかがでしょうか。



『セッション』公式サイト
http://session.gaga.ne.jp/

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