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2023/02/13

『仕掛人・藤枝梅安』感想

英揮ブログ


今回ご紹介する作品は、豊川悦治主演の「仕掛人・藤枝梅安」となっております。

以下、あらすじとなります。



あらすじ


腕の良い針医者である藤枝梅安(豊川悦司)は、
裁けない悪を秘密裏に始末する仕掛け人という裏の顔を持っていた。

ある日、梅安は仕事の元締めからとある依頼を受け、
その調査のために料理屋を訪れる。

そこで料理屋の女将を目にした瞬間、
彼の脳裏にとある記憶がよぎり……。




令和の時代によみがえる時代劇「仕掛人・藤枝梅安」の魅力


タ時代劇が製作されることが目に見えて少なくなってきた昨今。

長年続いていた「水戸黄門」シリーズや「仕事人」シリーズの放送も終了し、
袴にちょんまげ、日本刀なんて姿をテレビで見るのはNHKの中ばかりになった印象があります。

そんないわゆる時代劇氷河期の中で公開されたのが、
池波正太郎の生誕100周年を記念して製作されたこの作品というわけです。


この作品をズバリ一言で表せば、
昔ながらの時代劇。

決してブレない信念を持つ主人公はもちろん、
同情できるところがひとつもない悪役、
いかにも小物なチンピラ、おせっかいな小間使い、気のいい町人、和服の似合う美人など……
時代劇を構成するのに欠かせないキャラクターがぞろりと勢ぞろいします。

全体的な筋立てもいい意味で昔からの変化がない造り。

もちろん話に抑揚がないというわけではなく、
二転三転しながらも落ち着くべきところに落ち着くといった感じで、
予想は裏切られるものの期待は裏切らないドラマを観ることができます。


さて今作において特筆したいのが、
なんといっても殺陣のすばらしさ。

主人公・藤枝梅安が行う“仕掛け”のシーンでは、
チャンバラ的派手さはないものの、
相手の急所を針で一突きする容赦のない所作と、
梅安を演じる豊川悦治のどこか切なさのようなものを感じる表情がグっときます。

脇を固める石川友五郎を演じる早乙女太一の殺陣も見事。

いい役者ではあるものの、
早乙女太一にアクションというイメージはなくどうなることかとは思っていたのですが、
誠実で腕の立つ侍の役を見事に演じ切っていました。


豊川悦司の殺陣が“静”だとすれば、
早乙女太一の殺陣はまさに“動”で、
太刀を構えて切って切って切りまくるオーソドックスな侍スタイル。

終盤に見られる大立ち回りのシーンはまさにTHE・時代劇という感じで、
昔ながらのチャンバラを存分に楽しむことができます。


その他、天海祐希と板尾創路の悪役コンビの演技も印象に残りました。

ふたりとも殺陣のシーンこそありませんでしたが、
悪辣な演技が清々しいほど憎らしい。

とくに“昔ながらの悪代官”的悪役を演じた板尾創路の演技はすっかり板についており、
「これを機にがんがんとオファーが入るのでは?」
と思わせるほどでした。


昔ながらの雰囲気が漂うも決して古臭くはない良作。

現在公開中の作品は前編となっており、
後編は四月に公開予定ですので、都合が合う方はスクリーンで観てみてはいかがでしょうか。



映画『仕掛人・藤枝梅安』公式サイト
https://baian-movie.com/

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