Mr.井出のオススメ映画
2017/04/07
ミュージカル映画に苦手な印象を持っている人は多いのではないでしょうか?
話を聞くに、
「登場人物が突然踊りだしたり歌いだしたりするのが意味不明」なんて思っている人が多いようです。
正直に言ってしまえば、
今回紹介する『ララランド』はそういった人たちに勧められるような作品ではありません。
ですが、
『アナ雪』程度のミュージカルなら十分許容できるという人にはぜひともおススメしたい作品となっております。
以下、あらすじとなります。ネタバレもありますので、ご注意ください。
映画スタジオの近くにあるカフェで働くミアは、
女優を目指し何度もオーディションを受けていたが、
そのたびに落選してばかりでいた。
ある日彼女は、
パーティーの帰りに立ち寄ったバーで、
セブというジャズピアニストと出会う。
彼もミアと同じように夢を追う若者であり、
本格的なジャズバーを開くことを願っていた。
何度か出会いを重ねるうちに2人は惹かれあい、
互いの夢を応援しあうようになる。
しかし、
セブが「生活のために」と加入したバンドが世界的に成功したことから、
2人は徐々にすれ違うようになり……。
ミュージカル映画では、
演者と歌手が異なる「吹き替え」という手法がわりと頻繁に行われています。
かの有名な「マイ・フェア・レディ」でも、
オードリー・ヘップバーンの代わりにマーニ・ニクソンという女性が、
オードリーの代わりに歌唱シーンを担当しているのです。
しかしこの映画では、
吹き替えは一切行われていません。
さらには歌唱シーンだけではなくダンスシーン、
さらにはピアノの演奏シーンなどもすべて役者本人が演奏しているのですから驚きです。
ミュージカル映画のわりに楽曲があまり多くないという意見も聞かれる今作ですが、
その裏には上記のようなこだわりがあったからなのだと思われます。
監督のこだわりは吹き替えの有無だけではありません。
アカデミー賞の歌曲賞のノミネートに名前を連ねた様々な楽曲と、
それに伴うダンスシーンの数々にも、並々ならない情熱を感じます。
一部をご紹介します。
まず、渋滞したハイウェイに突然鳴り出す、
オープニングソングの「アナザーデイオブサン」。
運転手たちが次から次へと車から飛び出し、
画面狭しと歌い踊るシーンは、
一切のカットを挟まず撮影されており圧巻の迫力でした。
監督の話では、
このシーンを撮影するだけに本物のハイウェイを2日間貸切ったというのですから、
いかにここの撮影に力を入れたのかがわかります。
オープニングで観客の心をぐっと掴んだ後、
「このまま高いテンションでいくのだろうか」と思わせておきながらも、
物語は意外とおとなしいリズムで進みます。
この緩急につまずかされて、
明るい曲が恋しくなってきたころで始まるのが、
「サムワンインザクラウド」。
原色が強い鮮やかな映像とやけくそに騒がしい曲調が見事にマッチしており、
個人的には「アナザーデイオブサン」よりも好きな曲です。
そのほかにも印象に残る曲が多くあります。
中でも特に大きなインパクトを残してくれたのが、
中盤に流れる「スタートアファイア」。
アップテンポなバンドサウンドはまったくミュージカルらしくない曲ではあるのですが、
そんな曲が物語的にはかなり大きな意味を持つのですから面白い。
また、劇中で披露されるライアン・ゴズリングのキーボードソロも一聴の価値ありです。
アカデミー賞歌曲賞を受賞した「シティーオブザスター」も印象深い。
ピアノソロと歌唱付きとで比べるとまったく違う曲に聞こえてくるように錯覚するので、
ぜひとも比べて聞いてほしいところです。
そして映画の最後に流れるのが、
劇中で流れたほとんどすべての曲を網羅したメドレーソングの「エピローグ」。
映画を観た人だけにしかわからない高揚感と哀愁を同時に感じさせてくれるので、
この曲だけは映画を観る前には聞かない方がいいかもしれません。
2014年に製作した『セッション』では、
音楽界の狂気を描いたデミアン・チャゼル監督。
しかし今作の『ララランド』では前作とは打って変わって、
夢を持つ2人の若者の出会いとその行く末をロマンティックに描いています。
チャゼル監督は元々、
今作のような昔ながらのミュージカル映画を撮りたくて映画監督になったそうなので、
作風の急転換は予定内だったのでしょう。
公開からひと月以上は経っていますが、
都内ではまだまだ上映中です。
大きなスクリーンで見た方がずっと楽しい映画ですので、
レンタルなどを待たずに映画館で鑑賞してみてはいかがでしょうか。
『ラ・ラ・ランド』公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/index.html
ミュージカルと春の陽気と映画と
ミュージカル映画に苦手な印象を持っている人は多いのではないでしょうか?
話を聞くに、
「登場人物が突然踊りだしたり歌いだしたりするのが意味不明」なんて思っている人が多いようです。
正直に言ってしまえば、
今回紹介する『ララランド』はそういった人たちに勧められるような作品ではありません。
ですが、
『アナ雪』程度のミュージカルなら十分許容できるという人にはぜひともおススメしたい作品となっております。
以下、あらすじとなります。ネタバレもありますので、ご注意ください。
あらすじ
物語の舞台となるのはロサンゼルス。映画スタジオの近くにあるカフェで働くミアは、
女優を目指し何度もオーディションを受けていたが、
そのたびに落選してばかりでいた。
ある日彼女は、
パーティーの帰りに立ち寄ったバーで、
セブというジャズピアニストと出会う。
彼もミアと同じように夢を追う若者であり、
本格的なジャズバーを開くことを願っていた。
何度か出会いを重ねるうちに2人は惹かれあい、
互いの夢を応援しあうようになる。
しかし、
セブが「生活のために」と加入したバンドが世界的に成功したことから、
2人は徐々にすれ違うようになり……。
ララランドの魅力
ミュージカル映画では、
演者と歌手が異なる「吹き替え」という手法がわりと頻繁に行われています。
かの有名な「マイ・フェア・レディ」でも、
オードリー・ヘップバーンの代わりにマーニ・ニクソンという女性が、
オードリーの代わりに歌唱シーンを担当しているのです。
しかしこの映画では、
吹き替えは一切行われていません。
さらには歌唱シーンだけではなくダンスシーン、
さらにはピアノの演奏シーンなどもすべて役者本人が演奏しているのですから驚きです。
ミュージカル映画のわりに楽曲があまり多くないという意見も聞かれる今作ですが、
その裏には上記のようなこだわりがあったからなのだと思われます。
監督のこだわりは吹き替えの有無だけではありません。
アカデミー賞の歌曲賞のノミネートに名前を連ねた様々な楽曲と、
それに伴うダンスシーンの数々にも、並々ならない情熱を感じます。
一部をご紹介します。
まず、渋滞したハイウェイに突然鳴り出す、
オープニングソングの「アナザーデイオブサン」。
運転手たちが次から次へと車から飛び出し、
画面狭しと歌い踊るシーンは、
一切のカットを挟まず撮影されており圧巻の迫力でした。
監督の話では、
このシーンを撮影するだけに本物のハイウェイを2日間貸切ったというのですから、
いかにここの撮影に力を入れたのかがわかります。
オープニングで観客の心をぐっと掴んだ後、
「このまま高いテンションでいくのだろうか」と思わせておきながらも、
物語は意外とおとなしいリズムで進みます。
この緩急につまずかされて、
明るい曲が恋しくなってきたころで始まるのが、
「サムワンインザクラウド」。
原色が強い鮮やかな映像とやけくそに騒がしい曲調が見事にマッチしており、
個人的には「アナザーデイオブサン」よりも好きな曲です。
そのほかにも印象に残る曲が多くあります。
中でも特に大きなインパクトを残してくれたのが、
中盤に流れる「スタートアファイア」。
アップテンポなバンドサウンドはまったくミュージカルらしくない曲ではあるのですが、
そんな曲が物語的にはかなり大きな意味を持つのですから面白い。
また、劇中で披露されるライアン・ゴズリングのキーボードソロも一聴の価値ありです。
アカデミー賞歌曲賞を受賞した「シティーオブザスター」も印象深い。
ピアノソロと歌唱付きとで比べるとまったく違う曲に聞こえてくるように錯覚するので、
ぜひとも比べて聞いてほしいところです。
そして映画の最後に流れるのが、
劇中で流れたほとんどすべての曲を網羅したメドレーソングの「エピローグ」。
映画を観た人だけにしかわからない高揚感と哀愁を同時に感じさせてくれるので、
この曲だけは映画を観る前には聞かない方がいいかもしれません。
2014年に製作した『セッション』では、
音楽界の狂気を描いたデミアン・チャゼル監督。
しかし今作の『ララランド』では前作とは打って変わって、
夢を持つ2人の若者の出会いとその行く末をロマンティックに描いています。
チャゼル監督は元々、
今作のような昔ながらのミュージカル映画を撮りたくて映画監督になったそうなので、
作風の急転換は予定内だったのでしょう。
公開からひと月以上は経っていますが、
都内ではまだまだ上映中です。
大きなスクリーンで見た方がずっと楽しい映画ですので、
レンタルなどを待たずに映画館で鑑賞してみてはいかがでしょうか。
『ラ・ラ・ランド』公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/index.html