Mr.井出のオススメ映画
2018/03/27
つい先日、
アカデミー賞の授賞式が行われました。
様々な作品がノミネートされる中、
見事にオスカーを獲得した作品はギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプオブウォーター』。
ということで、
今回ご紹介する映画は『シェイプオブウォーター』になります。
ネタバレもありますのでご注意ください。
舞台は1962年、
アメリカとソ連の冷戦時代。
清掃員として政府の研究所に勤めるイライザは、
声を発することが出来ないという障害を持ちながらも、
理解ある友人に恵まれて日々を過ごしていた。
ある日のこと、
いつものように同僚のゼルダと共に清掃を行っていたイライザは、
極秘で施設に連れてこられた、
半魚人めいた謎の生物が囚われているのを目撃してしまう。
その生物の神秘的な美しさに惹かれたイライザは、
人目を盗んで“彼”に会いに行くようになる。
お互いに言葉を話すことが出来ないながらも、
徐々に親しくなっていくふたりだったが、
“彼”の解剖が施設内で決定したことで状況は一変する……。
ギレルモ・デル・トロ監督といえば、
巨大ロボットが怪獣と殴り合うアクション映画、「パシフィック・リム」、
ヒト型の昆虫生物が次々と人を襲うホラー映画、「ミミック」、
幻想的かつ残酷な世界観が特徴的なダークファンタジー、「パンズラビリンス」などなど、
様々なジャンル映画を撮っていることで有名です。
そんな彼の映画に共通するのがモンスター(怪物)の存在。
グロテスクな見た目でありながらもどこか愛らしかったり、
人間よりも人間臭かったり、
見た目の通り恐ろしい存在だったり……
そういったキャラクターが、デルトロ監督の映画には付き物です。
今作『シェイプオブウォーター』にもクリーチャーが登場します。
それが、“彼”と呼ばれる半魚人なのです。
物語は“彼”とイライザの愛を中心に据えて展開されていきます。
片や怪物、片やハンディを抱えた女性……
設定だけ見れば“美女と野獣”、
あるいは男女逆転“人魚姫”のようではありますが、
そこはオタク気質でひねくれもののデルトロ監督。
話はそう単純ではありません。
まずヒロインのイライザですが、
決して美人ではありません。
もちろん主演女優であるサリー・ホーキンスの役作りのおかげもあるのでしょうが、
パッと見たらどこにでもいそうな、
どこか冴えない普通の中年女性。
去年公開の本家“美女と野獣”でお姫様役を演じたエマ・ワトソンと比べると、
まさに月とすっぽんと言えるでしょう。
イライザと恋仲になる“彼”も、
「実は悪い魔女に姿を変えられたイケメンの王子様で……」なんてことはなく、
最初から最後まで見た目のままの半魚人。
ある程度の意思疎通は可能ですが、
人間の言葉を話すことは出来ず、
生きている猫の頭を噛みちぎるなど、
その習性はほとんど野生の獣と変わりありません。
そんなふたりのラブロマンスが絵的に映えるかといえば、
やはりそうではないのですが、
鑑賞しているうちに美しく神秘的なものに見えてくるから不思議。
物語が進むうちに女性的になるイライザ、
紳士的になる“彼”の関係はおとぎ話のようで、
まさしくギレルモ流美女と野獣という一本に仕上がっています。
グロテスクなシーンなどもあり、
万人向けとは言い難い映画ではありますが、
興味があるならば観て損はありません。
都内ではまだまだ公開中ですので、
是非とも鑑賞してみてはいかがでしょうか。
『シェイプ・オブ・ウォーター』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/
アカデミー賞とモンスターと映画と
つい先日、
アカデミー賞の授賞式が行われました。
様々な作品がノミネートされる中、
見事にオスカーを獲得した作品はギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプオブウォーター』。
ということで、
今回ご紹介する映画は『シェイプオブウォーター』になります。
ネタバレもありますのでご注意ください。
あらすじ
舞台は1962年、
アメリカとソ連の冷戦時代。
清掃員として政府の研究所に勤めるイライザは、
声を発することが出来ないという障害を持ちながらも、
理解ある友人に恵まれて日々を過ごしていた。
ある日のこと、
いつものように同僚のゼルダと共に清掃を行っていたイライザは、
極秘で施設に連れてこられた、
半魚人めいた謎の生物が囚われているのを目撃してしまう。
その生物の神秘的な美しさに惹かれたイライザは、
人目を盗んで“彼”に会いに行くようになる。
お互いに言葉を話すことが出来ないながらも、
徐々に親しくなっていくふたりだったが、
“彼”の解剖が施設内で決定したことで状況は一変する……。
大人のためのおとぎ話 「シェイプオブウォーター」の魅力
ギレルモ・デル・トロ監督といえば、
巨大ロボットが怪獣と殴り合うアクション映画、「パシフィック・リム」、
ヒト型の昆虫生物が次々と人を襲うホラー映画、「ミミック」、
幻想的かつ残酷な世界観が特徴的なダークファンタジー、「パンズラビリンス」などなど、
様々なジャンル映画を撮っていることで有名です。
そんな彼の映画に共通するのがモンスター(怪物)の存在。
グロテスクな見た目でありながらもどこか愛らしかったり、
人間よりも人間臭かったり、
見た目の通り恐ろしい存在だったり……
そういったキャラクターが、デルトロ監督の映画には付き物です。
今作『シェイプオブウォーター』にもクリーチャーが登場します。
それが、“彼”と呼ばれる半魚人なのです。
物語は“彼”とイライザの愛を中心に据えて展開されていきます。
片や怪物、片やハンディを抱えた女性……
設定だけ見れば“美女と野獣”、
あるいは男女逆転“人魚姫”のようではありますが、
そこはオタク気質でひねくれもののデルトロ監督。
話はそう単純ではありません。
まずヒロインのイライザですが、
決して美人ではありません。
もちろん主演女優であるサリー・ホーキンスの役作りのおかげもあるのでしょうが、
パッと見たらどこにでもいそうな、
どこか冴えない普通の中年女性。
去年公開の本家“美女と野獣”でお姫様役を演じたエマ・ワトソンと比べると、
まさに月とすっぽんと言えるでしょう。
イライザと恋仲になる“彼”も、
「実は悪い魔女に姿を変えられたイケメンの王子様で……」なんてことはなく、
最初から最後まで見た目のままの半魚人。
ある程度の意思疎通は可能ですが、
人間の言葉を話すことは出来ず、
生きている猫の頭を噛みちぎるなど、
その習性はほとんど野生の獣と変わりありません。
そんなふたりのラブロマンスが絵的に映えるかといえば、
やはりそうではないのですが、
鑑賞しているうちに美しく神秘的なものに見えてくるから不思議。
物語が進むうちに女性的になるイライザ、
紳士的になる“彼”の関係はおとぎ話のようで、
まさしくギレルモ流美女と野獣という一本に仕上がっています。
グロテスクなシーンなどもあり、
万人向けとは言い難い映画ではありますが、
興味があるならば観て損はありません。
都内ではまだまだ公開中ですので、
是非とも鑑賞してみてはいかがでしょうか。
『シェイプ・オブ・ウォーター』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/