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Mr.井出のオススメ映画
2016/08/08

盆と怪獣と映画と

英揮ブログ
蝉の声がうるさくなるこの季節は、
日米問わず各国の注目作の劇場公開がかち合う、
映画戦国月間でもあります。

ハリウッドから来るは、
「ゴーストバスターズ」や「X‐MEN」、
「ミュータント・タートルズ」などの大作のシリーズ新作。

そんなお化け・超人軍団に対抗する日本映画の中でも特に注目されている〝大物〟が、
庵野秀明氏がメガホンを取った「シン・ゴジラ」なのです。

というわけで、
今回オススメするのは今夏ナンバーワンの注目作、
「シン・ゴジラ」です。

あらすじなどでネタバレされたくないという方は、
注意していただけると幸いです。








舞台は現代日本。

誰もがいつもと変わらない日常を過ごしていたある日、
東京湾アクアトンネルが原因不明の崩落を起こし、
平和だった日本がざわつき始めます。

想定外の出来事に揺れる官邸。

そんな折、
内閣官房副長官の矢口は、
インターネットに投稿された動画内に東京湾を泳ぐ巨大生物の影=ゴジラを確認し、
「トンネルの崩落は巨大生物の仕業では」と会議の席で内閣に進言します。

その場では矢口の話に耳を傾ける者はいませんでしたが、
各テレビ局による「巨大生物出現」のアナウンスにより、
彼の話は現実のものとして受け入れられます。

未だかつてない事態にどのように対応すべきか政府が検討する中、
上陸したゴジラは町を破壊しながら東京へと進んでいき……。


この映画を簡潔に説明すれば、
現代日本VSゴジラのドキュメンタリー。

もしくは、
「プロジェクトX~ゴジラに挑んだ男達~」、
といったところでしょうか。

とにかく、
この作品はゴジラという大災害の具現が日本に出現すること以外、
すべてがリアルなのです。

未確認巨大生物の出現という、
「待った」をかけることが出来ない差し迫った状況にも関わらず、
国という大きな単位で動いている以上、
お役所的な会議を繰り返した後でしか行動に移せないもどかしさの描写や、
ただの〝生物〟に対して自衛隊が動くべきなのかという葛藤などは、
ただの娯楽映画で感じることのできない緊迫感に包まれていて見事の一言。

また、
邦画にありがちな恋愛要素やお涙頂戴的展開は一切なく、
あくまで人類とゴジラとの戦いに終始した点は賛否両論あるかもしれませんが、
私としては大好物でした。

もうひとつ言及したいのが、
今作におけるゴジラのキャラクター造形。

最近では、
正義でもないが悪でもないというアンチヒーロー的立ち位置にいたゴジラですが、
今作では混じりけなしの破壊の化身。

というよりも、
台風や地震のようなどうしようもない〝大災害〟。

ゴジラの目に映る表情は喜怒哀楽のどれでもなく、
無感情に街を破壊していく様は、
絶望感に興奮するという奇妙な感覚を教えてくれました。


キングギドラやモスラなどをはじめとするゴジラのライバルは登場しないため、
いわゆる怪獣プロレス的な要素は一切ない映画なので、
絵的には地味なのは否めませんし、
メッセージ性も強いので見る人を選ぶかもしれません。

ですが、
好きな人はとことん好きになれる映画だと思います。


全国各地でまだまだ公開中ですので、
お時間あれば映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか?


『シン・ゴジラ』公式サイト
http://www.shin-godzilla.jp/index.html

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