色
2018/05/08
こんにちは、EIKIの馨です。
前に色の話をした時は基本的な色の見え方の仕組みについてだったのですが、
今回は「構造色」という発色の仕方にかかわることについて。
(前回のブログはこちら)
一言で言うと、
光を受ける面が持つ物理的な構造によって
光学現象を起こして発色している、です。
色素や顔料は、
ある特定の波長以外を吸収することで発色していますが、
構造色による発色は、
光の波長よりも小さな構造によって散乱や干渉などが起き、
特定の波長が積極的に反射されることで色が付いて見えるというもの。
見る角度によって色が変わるという特徴があります。
何か難しそうに聞こえるかもしれませんが、
意外と身近にあるもので、
CDの記録面、シャボン玉や水面に広がった油の表面が虹色に光って見えるのもそうだし、
空が青かったり夕焼けで赤くなったりするのも広い意味で構造色といえますね。
それ自体の色ではないので、
その構造を壊してしまうと今まで見えていた色ではなく、
その構造を作っていた物質自体の色にしか見えません。
有名なのは美しい青色の翅を持つモルフォ蝶ですね。
玉虫とか孔雀の羽根なんかもキラキラきれいですがあれもそう。
公園とかによくいる鳩、
首の周りが光沢のある緑っぽくなっているのも同じ現象です。
というか鮮やかな色をしている鳥はほとんど構造色らしいです。
フラミンゴみたいに餌から摂取した色素によるものもいますが…
基本的に動物の多くは赤や黄色と違って色素によって青色を出すことができません。
そこで構造色という色素に頼らない発色方法を獲得するように進化したものがいます。
その動物によってどのような物質でできていて、
どのような構造で発色しているのかは違います。
色素の色と構造色を掛け合わせて色を出している場合もあります。
アマガエルの緑とか。
なんにせよナノメートルの世界の話です。
http://www.yoshioka-lab.com/kaisetsu/morpho.html
モルフォ蝶の翅は表面がこんな感じ。
http://www.yoshioka-lab.com/research/rsindex.htm
一番右がモルフォ蝶の鱗粉にある細い筋の構造。
長い本棚みたいなものがいくつも並んでいます。
因みに右からモルフォ、孔雀、玉虫、鳩。
モルフォ蝶を例にすると、
鱗粉1枚の画像にあるように、
細い筋が約1μm(1ミクロン=1/1000mm)間隔で並んでいます。
この筋1本1本が本棚みたいな構造をしているのです。
この本棚のそれぞれの段が青い光を反射し、
干渉によってより青が強調されます。
これが青く見える理由。
また、青の波長は大体450~495nm(1ナノメートル=1/1000μm)です。
棚の段はそれよりも狭いので、
回折によって棚に対して垂直の平面方向へ広がっていきます。
筋の間隔は青の波長より広いので、
筋方向にはほとんど広がりません。
これが翅の色が見る方向によって変わる理由。
翅を真っ直ぐ上から見たときは青に見えますが、
角度によってはほとんど光が反射されないのでほぼ真っ黒に見えます。
※干渉…波の山と山が重なると強め合って、山と谷が重なると打ち消し合う現象。
※回折…波がその波長よりも狭いところから出ていくとき、
その出口を中心に広がって伝わっていくこと。
上の画像には入っていませんが、
アマガエルの皮膚には色素胞という
色を担当する細胞が三層構造を作っていて以下のように並んでいます。
上 色素による黄色や赤
中 構造色による青や緑
下 メラニン色素による黒
細胞内の色素の分布具合や構造の向きの変化によりそれぞれの色の強さを変え、
これらの色を掛け合わせてクリーム色っぽいものから
綺麗な青や暗いオリーブ色までを出しています。
まだ色を識別する必要が無かった時代から
何億年もかけて進化した色を見ていると考えるとすごいなと思いませんか?
しかも構造が壊れない限り褪色しないので、
ドイツで見つかった5000万年前の甲虫の死骸、
綺麗にメタリックブルーを残していたそうです。
そういえば自動車のレクサス、
モルフォ蝶から着想を得て
構造発色を応用し開発した顔料で綺麗な青色の特別仕様車を出したらしいですよ。
お金持ちの方は是非!
https://lexus.jp/models/lc/features/sesb/
参考
NPR
https://www.npr.org/sections/health-shots/2014/11/12/347736896/how-animals-hacked-the-rainbow-and-got-stumped-on-blue
吉岡研究室(Yoshioka Lab)東京理科大学 理工学部 物理学科
http://www.yoshioka-lab.com/index.html
色と光についてpart2 ~構造色~
こんにちは、EIKIの馨です。
前に色の話をした時は基本的な色の見え方の仕組みについてだったのですが、
今回は「構造色」という発色の仕方にかかわることについて。
(前回のブログはこちら)
構造色とは?
一言で言うと、
光を受ける面が持つ物理的な構造によって
光学現象を起こして発色している、です。
色素や顔料は、
ある特定の波長以外を吸収することで発色していますが、
構造色による発色は、
光の波長よりも小さな構造によって散乱や干渉などが起き、
特定の波長が積極的に反射されることで色が付いて見えるというもの。
見る角度によって色が変わるという特徴があります。
何か難しそうに聞こえるかもしれませんが、
意外と身近にあるもので、
CDの記録面、シャボン玉や水面に広がった油の表面が虹色に光って見えるのもそうだし、
空が青かったり夕焼けで赤くなったりするのも広い意味で構造色といえますね。
それ自体の色ではないので、
その構造を壊してしまうと今まで見えていた色ではなく、
その構造を作っていた物質自体の色にしか見えません。
生物界の構造色
有名なのは美しい青色の翅を持つモルフォ蝶ですね。
玉虫とか孔雀の羽根なんかもキラキラきれいですがあれもそう。
公園とかによくいる鳩、
首の周りが光沢のある緑っぽくなっているのも同じ現象です。
というか鮮やかな色をしている鳥はほとんど構造色らしいです。
フラミンゴみたいに餌から摂取した色素によるものもいますが…
基本的に動物の多くは赤や黄色と違って色素によって青色を出すことができません。
そこで構造色という色素に頼らない発色方法を獲得するように進化したものがいます。
その動物によってどのような物質でできていて、
どのような構造で発色しているのかは違います。
色素の色と構造色を掛け合わせて色を出している場合もあります。
アマガエルの緑とか。
なんにせよナノメートルの世界の話です。
http://www.yoshioka-lab.com/kaisetsu/morpho.html
モルフォ蝶の翅は表面がこんな感じ。
http://www.yoshioka-lab.com/research/rsindex.htm
一番右がモルフォ蝶の鱗粉にある細い筋の構造。
長い本棚みたいなものがいくつも並んでいます。
因みに右からモルフォ、孔雀、玉虫、鳩。
モルフォ蝶を例にすると、
鱗粉1枚の画像にあるように、
細い筋が約1μm(1ミクロン=1/1000mm)間隔で並んでいます。
この筋1本1本が本棚みたいな構造をしているのです。
この本棚のそれぞれの段が青い光を反射し、
干渉によってより青が強調されます。
これが青く見える理由。
また、青の波長は大体450~495nm(1ナノメートル=1/1000μm)です。
棚の段はそれよりも狭いので、
回折によって棚に対して垂直の平面方向へ広がっていきます。
筋の間隔は青の波長より広いので、
筋方向にはほとんど広がりません。
これが翅の色が見る方向によって変わる理由。
翅を真っ直ぐ上から見たときは青に見えますが、
角度によってはほとんど光が反射されないのでほぼ真っ黒に見えます。
※干渉…波の山と山が重なると強め合って、山と谷が重なると打ち消し合う現象。
※回折…波がその波長よりも狭いところから出ていくとき、
その出口を中心に広がって伝わっていくこと。
上の画像には入っていませんが、
アマガエルの皮膚には色素胞という
色を担当する細胞が三層構造を作っていて以下のように並んでいます。
上 色素による黄色や赤
中 構造色による青や緑
下 メラニン色素による黒
細胞内の色素の分布具合や構造の向きの変化によりそれぞれの色の強さを変え、
これらの色を掛け合わせてクリーム色っぽいものから
綺麗な青や暗いオリーブ色までを出しています。
まだ色を識別する必要が無かった時代から
何億年もかけて進化した色を見ていると考えるとすごいなと思いませんか?
しかも構造が壊れない限り褪色しないので、
ドイツで見つかった5000万年前の甲虫の死骸、
綺麗にメタリックブルーを残していたそうです。
そういえば自動車のレクサス、
モルフォ蝶から着想を得て
構造発色を応用し開発した顔料で綺麗な青色の特別仕様車を出したらしいですよ。
お金持ちの方は是非!
https://lexus.jp/models/lc/features/sesb/
参考
NPR
https://www.npr.org/sections/health-shots/2014/11/12/347736896/how-animals-hacked-the-rainbow-and-got-stumped-on-blue
吉岡研究室(Yoshioka Lab)東京理科大学 理工学部 物理学科
http://www.yoshioka-lab.com/index.html