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2018/08/06

身近な食材の毒

英揮ブログ


こんにちは、EIKIの馨です。

懲りずにまた毒関連なのですが、
今回は比較的身近にある食材に含まれるやつで…

ぱっと思いつく食中毒に多いのは自分で採ってきたキノコとか、
自分で釣って捌いた河豚に当たっただとか、
飾りとして出した紫陽花の葉で…とか。

結構命に係わる系のヤバいやつがニュースになったりしますが、
スーパーで売っており普段家で料理をするときに使う食材でも
調理法を誤れば毒になり得るものがありますよね。




ジャガイモ


一番有名じゃないでしょうか。

芽には毒があるから取らないとダメ、
っていうのはご存知かと思います。

特に芽や皮などにソラニンやチャコニンなどのアルカロイドが含まれていて、
これらを大量に摂取すると嘔吐や下痢(3日以上続くことも!)、
酷い場合には腎不全や呼吸困難になります。

重症になっても体外へ排出されるのは早いので、
食べてから24時間後に生きていれば予後は良好なようです。

普通に売られているジャガイモなら1個あたりそんなに含まれていないので、
大人なら一度に何十キロも食べなければまず死にません。


ただ、傷が付いたり古くなったりして傷んでいるもの、
発芽や緑化してしまっているものは、
これらアルカロイドの含有量が増えているので危険です。

また、育ち切っていない小さいジャガイモも含有量が多いです。

要は成長が盛んな部分に多く含まれているわけですね。

昔イギリスの小学校で給食に古くなったジャガイモが出され、
それを食べた生徒が78人倒れ17人入院、3人重症になった事件や、
北朝鮮ではこれまた古くなったジャガイモで大量の死者を出したケースも。
(まあ朝鮮戦争時代なので他の要因も重なってだとは思いますが)


対策としては、
芽や皮は取り除く、
緑っぽくなっているものや小さいものは避ける、
でしょうか。

紫外線(日光や蛍光灯)の当たるところに置いておくと緑化します。

また気温の高いところだと芽も成長してしまいます。


ソラニンは水溶性なので切った後よく水に晒し洗うのが効果的。

熱には強いので、古くなり傷んでいてちょっとヤバいかな?というのを
例えばカレーに入れてよく煮込んでも無毒化できません。

小さい子供は大人の10分の1の量で中毒を起こすとされているので、
子供のいる家庭では下処理により気を付けた方がいいかもしれませんね。




ナス科は…


有名約2600種の、
植物の中でもかなり大きなグループで、
しかもここに属するものにはアルカロイド系の成分を含む
有毒植物が多いことも知られています。

毒で有名どころだとベラドンナとかマンドラゴラとか。

食用とされるものだと茄子、トマト、ピーマン、唐辛子などなど…

上で出たジャガイモもこの科です。


一般に食べられているものは品種改良により
含まれる毒成分は微量で普通に食べている分には害はありません。

しかし食べない部分、例えば花とか葉とか、
また、完熟していない実には高濃度で含まれていることがあります。

基本的にトマトは赤く熟した果実部分を食べますが、
まだ青く小さいものや、花、葉には「トマチン」という
ソラニンに似たアルカロイドが多く含まれています。

花(1100 mg/kg)
葉(975 mg/kg)
茎(896 mg/kg)
未熟果実(465 mg/kg)
熟した青い果実(48 mg/kg)
完熟果実(0.4 mg/kg)



毒は苦い


ピーマンや茄子は完熟前に収穫して食べるのが一般的です。

普段食べるピーマンは濃い緑ですが、
そのまま収穫せずにおいておくと赤くなります。

子供が苦くて嫌いだというのは、
苦みの素であるアルカロイド成分が多いためであり、
熟して赤や黄色になったピーマンは
含有量が少ないため比較的苦くありません。


植物はほかの虫や動物に食べられないように
アルカロイドなどの毒成分を持っていると考えられています。

動物の味覚のうち「苦み」はそういった毒を避けるために備わっていました。

しかし人間は大人になるにつれその味覚が鈍くなります。

しかも最近の研究ではほかの霊長類に比べて
人間の苦みを感じる遺伝子に顕著な退化が見られるとのこと。

哺乳類でピーマンを食べるのは人間くらいです。物好きです。

敢えて毒があり他の種が食べない植物を選び、
毒に耐えるよう進化することで餌を独占した虫とかもいます。

植物vs虫の頭脳戦です。熱いですね!

でもやっぱり好きとかではなく生存戦略です。

人間もこっちの方向でいけないかな?


因みに緑のピーマンが完熟した赤いやつがあまり出回らないのは
収穫までに時間が掛かり、保存期間も短いという
流通上の都合が理由なんですって…残念。

緑のピーマンを食べるとき苦みを抑えたいなら油炒めですね。

熱には強いですが油には溶けるので。

茄子は完熟すると種がしっかり固いものになり、
実も大きく水分も少なく美味しくないそうです。

色も茄子紺じゃなく黄色や茶色になってしまうそう。

やっぱあの色がいいですよね…糠漬けとか…



本当は他にも青梅とか蕨とか蕗の薹とかあったんですけど、
共通点として、昔から伝えられているようなことには、
やっぱりそれなりに意味があるってことでした。

水に晒す、あく抜きをする、生は食べないなど。

味覚を頼りにしない以上、
経験則なり科学なりがこれからもっと大事になっていくんでしょうか。

知らなかった所為で害を被るのは結局自分や家族ですからね…

自分の口に入るものには気を付けたいものです。


参考

田中真知「へんな毒 すごい毒」

日本中毒情報センター
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf

The Plant List
http://www.theplantlist.org/1.1/browse/A/Solanaceae/

日本植物生理学会
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=803

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