その他
2018/11/07
こんにちは、EIKIの馨です。
最近毒とか物騒(?)な話ばかりだったので
もっと穏やかな言語の話にします。(眠くなりますね!)
“イタリア語とスペイン語は似ている“とかって聞いたことありませんか?
実際にそれぞれの母語話者はそのまま喋って7割くらいは通じるらしい…
これとこれはよく似ているから共通の言語から派生した、
ぱっと見似ているけど文法が全然違うから別系統だ、
そういう類似性を発見したり、
またさらに上の共通した祖語を推測したりするのを「比較言語学」といいます。
上で出たイタリア語とスペイン語を例にすると、
インド・ヨーロッパ語族(印欧語族)
→イタリック語派
→ラテン・ファリスク語群
→ロマンス諸語
→イタロ・西ロマンス語
二つともここに属しています。
ここからようやく分かれます。
「イタロ・ダルマチア語」→イタリア語
「西ロマンス語」→「イベロ・ロマンス語」→スペイン語
イタロはイタリアのこと、
イベロはイベリアのこと。
話されている地域を表しています。
イベリア半島といえばスペインとポルトガル。
てことはポルトガル語もイベロ・ロマンス語なのか?
そうです!
実際イタリア語よりもスペイン語と通じる率が高いみたいです。
因みに西ロマンス語の中には「ガロ・ロマンス語」というのもあり、
ガロというのはガリア、今のフランス・スイス・ベルギーあたり。
フランス語はその中のオイル語から派生した言葉です。
あれ…?
そうなると、イタリア語よりは
フランス語の方がスペイン語に近いってことに。
なんとなくフランス語の発音は他と似てない…
上に出てきた言語は全てロマンス諸語に属しています。
ロマンス諸語とは何ぞやという話ですが。
まず、もともと古代ローマで使われていたラテン語から。
現在我々が読める当時の文献、
例えばガリア戦記とかセネカの書簡集とか、
それらは古典ラテン語と呼ばれる書き言葉です。
話し言葉は俗ラテン語(又は民衆ラテン語)と呼ばれていて、
発音や格変化が簡略化されたりしていました。
ローマ帝国が拡大し各地で話されるようになりましたが、
帝国崩壊後、地方ごとに分化していき、
そのそれぞれがロマンス諸語になりました。
難しいように聞こえますが、
ラテン語の口語における方言が
今のイタリア語とかスペイン語の違いになった、という事です。
イタリア語の属するイタロ・ダルマチア語というグループは、
もとになったラテン語に一番近いといわれています。
一口にイタリア語と言っても方言の差が大きく、
学校で習う標準イタリア語と呼ばれるものは、
周辺のフランス語やスペイン語の影響を比較的受けていない
トスカーナ方言をもとにナポリやシチリア方言の単語を取り入れたものです。
なので分類上イタリア語はトスカーナ語と言ったりもします。
一方フランス語は発音においてラテン語からはかなり変わってしまいました。
語末の子音を読まないとか、
母音の発音とか。
しかし書いた時の綴りはそれほど変化しませんでした。
だから同じ発音で綴りは違う別の単語というのがよくあり、
外国語としてフランス語を勉強すると難しいと感じるんですね。
日本人にとって第一外国語は英語というのが一般的ですが、
上で出てきた言語とは別系統です。
大きな括りでは同じグループで近いっちゃ近いんですが。
インド・ヨーロッパ語族
→ゲルマン語派
→西ゲルマン語群
→アングロ・フリジア語群→英語
→高地ドイツ語(標準ドイツ語)
英語はご存知の通り綴りと発音の関係にあまり一貫性が無く、
皆さんも学生時代覚えるのに苦労したんじゃないでしょうか。
英語はイギリス(ブリテン島)発祥ですが、
ローマ帝国が栄えていた時代のイギリスは
ラテン語と先住民族のケルト語が主流でした。
帝国の衰退により今度はゲルマン人が支配するようになり、
それが定着して初期の英語っぽいものになりました。(古英語)
そのあと今度はフランス人がやってきて、
支配階級の貴族が喋っていたノルマン語(フランス語と同系統)から
単語の借用や文法上の変化に大きな影響を受けました。
名詞の格変化や動詞の活用が単純化されたり、
名詞の性、男性名詞とか女性名詞とかがなくなったり。
(一部、船や国家は代名詞を使う際女性、というのはまだ残っています。)
あとは学術用語などをラテン語やギリシャ語から直接借用したために
綴りはそのまま、読みは英語風のようなことに。
発音は時代とともに変わったのに、
綴りは伝統的な語源に基づくものを使い続けたと。
かなり前に書きましたが、
語源の話はここにつながっています。
私は古いものなんかが割と好きなので
こういう話は楽しいのですが、
多分授業とかだと超絶眠くなるやつですね。
本当はドイツ語とがギリシャ語とかも
もっと書きたかったんですが、
長くなりそうなので次回ということで(笑)
因みに日本語は系統不明の孤立した言語です。(論争あり)
参考
小倉博行「ラテン語のしくみ」
hellog~英語史ブログ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2010-07-26-1.html
言語の分類
こんにちは、EIKIの馨です。
最近毒とか物騒(?)な話ばかりだったので
もっと穏やかな言語の話にします。(眠くなりますね!)
言語学上の分類
“イタリア語とスペイン語は似ている“とかって聞いたことありませんか?
実際にそれぞれの母語話者はそのまま喋って7割くらいは通じるらしい…
これとこれはよく似ているから共通の言語から派生した、
ぱっと見似ているけど文法が全然違うから別系統だ、
そういう類似性を発見したり、
またさらに上の共通した祖語を推測したりするのを「比較言語学」といいます。
上で出たイタリア語とスペイン語を例にすると、
インド・ヨーロッパ語族(印欧語族)
→イタリック語派
→ラテン・ファリスク語群
→ロマンス諸語
→イタロ・西ロマンス語
二つともここに属しています。
ここからようやく分かれます。
「イタロ・ダルマチア語」→イタリア語
「西ロマンス語」→「イベロ・ロマンス語」→スペイン語
イタロはイタリアのこと、
イベロはイベリアのこと。
話されている地域を表しています。
イベリア半島といえばスペインとポルトガル。
てことはポルトガル語もイベロ・ロマンス語なのか?
そうです!
実際イタリア語よりもスペイン語と通じる率が高いみたいです。
因みに西ロマンス語の中には「ガロ・ロマンス語」というのもあり、
ガロというのはガリア、今のフランス・スイス・ベルギーあたり。
フランス語はその中のオイル語から派生した言葉です。
あれ…?
そうなると、イタリア語よりは
フランス語の方がスペイン語に近いってことに。
なんとなくフランス語の発音は他と似てない…
ラテン語との関係
上に出てきた言語は全てロマンス諸語に属しています。
ロマンス諸語とは何ぞやという話ですが。
まず、もともと古代ローマで使われていたラテン語から。
現在我々が読める当時の文献、
例えばガリア戦記とかセネカの書簡集とか、
それらは古典ラテン語と呼ばれる書き言葉です。
話し言葉は俗ラテン語(又は民衆ラテン語)と呼ばれていて、
発音や格変化が簡略化されたりしていました。
ローマ帝国が拡大し各地で話されるようになりましたが、
帝国崩壊後、地方ごとに分化していき、
そのそれぞれがロマンス諸語になりました。
難しいように聞こえますが、
ラテン語の口語における方言が
今のイタリア語とかスペイン語の違いになった、という事です。
イタリア語の属するイタロ・ダルマチア語というグループは、
もとになったラテン語に一番近いといわれています。
一口にイタリア語と言っても方言の差が大きく、
学校で習う標準イタリア語と呼ばれるものは、
周辺のフランス語やスペイン語の影響を比較的受けていない
トスカーナ方言をもとにナポリやシチリア方言の単語を取り入れたものです。
なので分類上イタリア語はトスカーナ語と言ったりもします。
一方フランス語は発音においてラテン語からはかなり変わってしまいました。
語末の子音を読まないとか、
母音の発音とか。
しかし書いた時の綴りはそれほど変化しませんでした。
だから同じ発音で綴りは違う別の単語というのがよくあり、
外国語としてフランス語を勉強すると難しいと感じるんですね。
英語とドイツ語は?
日本人にとって第一外国語は英語というのが一般的ですが、
上で出てきた言語とは別系統です。
大きな括りでは同じグループで近いっちゃ近いんですが。
インド・ヨーロッパ語族
→ゲルマン語派
→西ゲルマン語群
→アングロ・フリジア語群→英語
→高地ドイツ語(標準ドイツ語)
英語はご存知の通り綴りと発音の関係にあまり一貫性が無く、
皆さんも学生時代覚えるのに苦労したんじゃないでしょうか。
英語はイギリス(ブリテン島)発祥ですが、
ローマ帝国が栄えていた時代のイギリスは
ラテン語と先住民族のケルト語が主流でした。
帝国の衰退により今度はゲルマン人が支配するようになり、
それが定着して初期の英語っぽいものになりました。(古英語)
そのあと今度はフランス人がやってきて、
支配階級の貴族が喋っていたノルマン語(フランス語と同系統)から
単語の借用や文法上の変化に大きな影響を受けました。
名詞の格変化や動詞の活用が単純化されたり、
名詞の性、男性名詞とか女性名詞とかがなくなったり。
(一部、船や国家は代名詞を使う際女性、というのはまだ残っています。)
あとは学術用語などをラテン語やギリシャ語から直接借用したために
綴りはそのまま、読みは英語風のようなことに。
発音は時代とともに変わったのに、
綴りは伝統的な語源に基づくものを使い続けたと。
かなり前に書きましたが、
語源の話はここにつながっています。
私は古いものなんかが割と好きなので
こういう話は楽しいのですが、
多分授業とかだと超絶眠くなるやつですね。
本当はドイツ語とがギリシャ語とかも
もっと書きたかったんですが、
長くなりそうなので次回ということで(笑)
因みに日本語は系統不明の孤立した言語です。(論争あり)
参考
小倉博行「ラテン語のしくみ」
hellog~英語史ブログ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2010-07-26-1.html