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2017/09/14

車と音楽と映画と(ベイビー・ドライバー感想)

英揮ブログ


「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ホット・ファズ」などの一風変わったコメディー映画で有名なエドガー・ライト監督が、

ついにハリウッド進出を果たしました。

今回ご紹介するのは、
そんなライト監督の最新作、「ベイビー・ドライバー」となります。以下、あらすじとなります。



あらすじ


天才的なドライビングテクニックを持つ主人公のベイビーは、
その腕を活かして強盗の「逃がし屋」をしていた。

望まぬ仕事でありながらも、
雇い主であり犯罪組織のボスであるドクという男に借りを持つベイビーは、
裏の仕事を渋々ながらも続けている。


ある日のこと、
行きつけのレストランで働くデボラという女性に出会ったベイビーは、
彼女に一目惚れをしたことをきっかけに逃がし屋稼業から足を洗うことを決める。

しかしベイビーの才能を手放すことを惜しんだドクはそれを許さず、
彼にさらなる仕事を持ちかける。

ベイビーはこの現状からなんとか逃げだそうとするのだが……。



ミュージカルが苦手な人ほど観てほしい〝新時代のミュージカル〟
パンフレットにはこう書いてありました。


「これぞ、カーアクション版〝ララランド〟だ!」。

ララランドは昔ながらのミュージカル映画。


一方でこの「ベイビー・ドライバー」は、
逃がし屋のドライバーを描いたサスペンスアクション映画のはずです。

予告を見てもカースタントばかりが推されていて、
ミュージカルの香りは一切感じられません。


しかし、本作を観て納得しました。

確かにこれは間違いなく、

「カーアクション版〝ララランド〟だ!」と。


この「ベイビー・ドライバー」において、
登場人物達が歌い踊るシーンなどは存在しません。

それでもこの作品を「ミュージカルだ」と比喩するのは、
音楽とアクションの融合がそれほど強烈だったからです。


主人公のベイビーは、
幼い頃に巻き込まれた事故の後遺症で絶えず酷い耳鳴りに苦しめられており、
その音を掻き消すために常にイヤホンで音楽を聴いています。

劇中で流れる曲は、
「今ベイビーが聞いている曲」という設定で、
例えば彼が右耳だけイヤホンを外すシーンでは劇場の右側から音楽が流れなくなるなどの工夫がされています。

この映画のキモとなってくるのはその音楽です。


「ベイビー・ドライバー」は、
全てのシークエンスが音楽に合わせて作られています。

何気ない日常のシーンはもちろんのこと、
音楽に合わせて銃が撃たれ、
音楽に合わせて車が街を爆走し、
音楽に合わせて主人公が街中を縦横無尽に走り回る……。

無茶苦茶なことをやっているように聞こえますが、
音楽と映像を無理に合わせたような印象はなく、
その一体感は見事と言う他ありません。


歌と踊りがアクションに取って代わった〝新時代のミュージカル〟が「ベイビー・ドライバー」なのです。



斬新な映像だけではなく、
気持ちよく予想を裏切ってくれる脚本も見事で、
詳しくは言えませんがラストにはほっこりする優しい展開が待っており、
安心して観られる作品です。


鑑賞後にはサウンドトラックを買いたくなること間違いなしの一本となっております。

上映館が少ない映画ではありますが、
都内では上映中のところも多いと思いますので、
是非ともご鑑賞してみてはいかがでしょうか?




『ベイビー・ドライバー』公式サイト
http://www.babydriver.jp/

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