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2017/08/08

アクションと進化と映画と(ジョン・ウィック チャプター2)

英揮ブログ

「マトリックス」シリーズで一世を風靡したキアヌ・リーヴスも、もう52歳。

近年ではヒット作にも恵まれず、
表舞台に出てくることもすっかり減った彼ですが、
3年前に公開された映画で見事カムバックを果たします。

それが「ジョン・ウィック」という映画でした。

本国で大当たりしたこの映画はすぐさま続編の製作が決定します。

その続編こそが、今回ご紹介する「ジョン・ウィック チャプター2」なのです。



あらすじ


かつてブギーマンとして恐れられた伝説の暗殺者、
ジョン・ウィックも今や引退の身。

ある日そんな彼の元に、
ダントニオという男がやってくる。


ジョンに恩があるダントニオは彼に自分の姉の暗殺を依頼するが、
静かな生活を望むジョンはその依頼を断る。

依頼を断られたダントニオは、
腹いせにジョンの家を爆破する。

なし崩し的に依頼を受けたジョンは難なくそれを成功させるのだが、
ジョンからの報復を恐れたダントニオは彼の命に7億の懸賞金を掛け、
ニューヨーク中の暗殺者に彼の命を狙わせる……。



「ジョン・ウィック」はアクション映画の革命だ


アクション映画には何かと銃の存在が付き物です。

しかしその扱われ方はとても乱暴というか、
リアリティが著しく欠けたものでした。

1980年代、ハリウッド映画全盛の時代。

画面映えや派手さを重視するために、
「そんな撃ち方で当たるか」という構え方で銃を撃ったり、
いくら撃っても銃が弾切れを起こさなかったりと、
銃の扱いに関しては特にフィクション特有の〝ゆるさ〟が映画界には蔓延していました。


その〝ゆるさ〟に待ったをかけるように、
リアル路線を追求したアクション映画が製作されたりもしましたが、
やはりリアルを突き詰めると映像も展開も地味になるもので、
そういった作品群の中からスマッシュヒットと呼べるものは生まれませんでした。


時代が進むにつれて視聴者の目が肥えてくると、
〝ゆるさ〟が通用しなくなってきます。

だからといってリアルを追求するだけで売れるわけでもありません。

昔ながらのアクション映画は衰退の一途を辿っていきます……。

そんな時代に生まれたのが、
画面映えとリアリティの融合を果たした「ジョン・ウィック」でした。


劇中でキアヌ・リーヴスが見せた、
実在する射撃技術と軍隊格闘技を融合させた〝ガン・フー〟と呼ばれる動きは、
リアリティを感じさせる洗練された動きにも関わらず派手さが失われておらず、
全世界の映画ファンを熱狂させました。

その結果は興行収入という形で如実に表れ、
2000万ドルという比較的小規模の製作費で、
全世界9000万ドル近い興行収入を叩き上げました。

まさに「ジョン・ウィック」は、
アクション映画をここにきて〝進化〟させたのです。



ジョン・ウィック チャプター2の魅力


「ジョン・ウィック チャプター2」は、
120分ほどある上映時間のうちほとんどがアクションシーンで構成されています。

ゆえにストーリーらしいストーリーはほとんど語られません。


それでも全く飽きがこないのは、
先ほど説明した新世代アクション〝ガン・フー〟がそれほど魅力的だからです。

難しいことは何も考えないで、
ただただ主人公のことをここまで「カッコイイ!」と思えるアクション映画は中々あるものではありません。


アクションシーンに彩りを加えるのが映画独特の世界観です。

「ニューヨーカーの3人に1人は副業で暗殺者をやっているのでは?」
と思わせるほど暗殺者が無尽蔵に現れたり、
防弾スーツを専門に提供する仕立て屋や、銃のソムリエがいたりと、
少しでも匙加減を間違えればギャグになってしまうような設定がいい塩梅のケレン味を映画に付与していました。

「必殺仕事人」のような世界観が許せる人にとっては大好物だと思われます。


また余談ですが、
この映画には日本人に馴染みのある人が登場します。

その人物というのが、
八百長問題で角界を引退した山本山。

引退後どこにいるのかと思っていたら、
アメリカでタレントとして活躍しているのだとか。


そんな彼の役どころは「スモウ」という名の日本人暗殺者。

その恵まれた体格を活かしてジョンに迫りますが、
呆気なく返り討ちに遭ってしまいます。


胸やけするほどアクションが詰め込まれた本作ですが、
だからこそ映画館で見る価値がある一本だと思います。

全国劇場でまだまだ公開中ですので、
新世代アクションを是非とも大きなスクリーンで体感してみてはいかがでしょうか。



『ジョン・ウィック:チャプター2』公式サイト
http://johnwick.jp/

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